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美術の先生

中学生のとき、美術の先生だったひとのことを思い出していた。当時所属してた部活の顧問でもあった。
うちの父が亡くなったとき、親族以外の大人で一番気にかけてくれた人。
中学生の頃は、美術のことなんてわかんないし、先生がスゴい人なんて知らなくて、あだ名で呼んだり、馴れ馴れしくしてた。中学生らしく。
夏休みに部活中、スイカを用意してくれたり、バレンタインにチョコをあげたら、オシャレなお菓子のセットをお返しでくれたりしたような優しい先生だった。ある日、今度ここで展示があるからってハガキをくれた。いわゆるDM。その展示に、ママと行った。リアルなタッチで描かれた本当に大きな絵、自分と同い年ぐらいの男の子や女の子がたくさんかかれている、学校で撮る集合写真みたいな絵だった。でもまわりの装飾や、モノクロのカラーが不気味で。ふと死を連想させるような、雰囲気の絵だった。暦の刻というタイトルの絵だった。

私たちの学年が中学を卒業するのと同時に、理由も、歳のせいかもわからんが、先生も退職することになった。
離任式に向けて、先生に渡す絵を描いた。でも先生は湿っぽい絵ばっか書く癖に、湿っぽいのがきらいで、離任式には出なかった。当然絵も渡せなかった。担任に、もし先生が用事でうちの中学に来ることがあったら、渡してほしいって言って絵を預けた。その後どうなったかはわからない。

最近ふと思い出して先生の名前を検索してみた。日本の大きな美術集団に所属しているらしい。すごい人だった。わたしはまたあの絵が見たくなった。展示に行きたいな。もう会うことはないのかな。